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ACADEMY FIGHT SONG - Early Days
¥1,500
2022年~2023年にかけてリリースされていたカセット3本をまとめ新曲を追加した作品、Kültti kasettiからのリリース! ささくれだった焦燥感のあるギターサウンドとアイデア満載の展開、DiscordやJade Tree、SST RECORDSといったハードコア/エモの名だたるレーベルの様々なバンドが思い浮かんでくるような円熟したサウンド、それでいて突き放すようなとっつきにくさはなく、むしろ聴きやすいカッコよさに仕上げているところはNAVELやCIGARETTEMANといったメロディックパンク周辺にも通ずるところを感じます。またCOWPERSやfOUL等の日本独特の感じもあるところも非常に好きです。 最新アルバムへの変遷を辿るような音源達、是非両方購入して聴いて欲しい。 トラックリスト 1.Prying 2.A.M 0:00 3.Kiriganai 4.Undertaker 5.Itoshima Calling 6.Kanata 7.Emotional Rescue 8.Nansei 9.Danshari Night Days 10.Makotoshi 11.River 12.It's My Life レーベルインフォ RUMTAG、タイガンなど様々なバンドでで活動しているeiji morodomiと Strange Over The Sun、Centerhitsなどで活動していたgivegive とkabacにより2021年に福岡にて結成。 2022-2023でリリースされ完売していた3本のカセットテープをまとめ新曲を追加したCDがKültti kasettiよりリリース! 各メンバーがやっていたバンドのファンの方はもちろんDischord、SST周辺、後期Jawbreaker、Jawbox、そしてeastern youth、bloodthirsty butchersm、COWPERSあたりのジャパニーズオルタナティブイーモウファンの方も是非手に取ってください! . . . "Academy fight songは可能性に住む。" ここに私の知っていること、見てきたもの全てを記したい。流離達の軌跡は遥か彼方。どうか多くの方々へ届くようにと祈りを捧げる。Fugaziの来日は当方にとって人々の見聞でしかなく魂だけが言霊のように残る。たとえNirvanaが全てに謝罪しようとも音楽は死なない。そこに世紀末の華やかさなんてものは到底見合わなかった。混沌とした90年代のカオティックワールド。日本でもそれはどこか狂気を帯びて侘しくて寂しくて、それでもどこか力強くて琴線に触れるようなメロディを持ったバンドだけが今尚語り継がれる。北海の息吹は呼吸し続けるんだ。俗社会では、ありありと悲しい現実だけが浮き彫りにされ情報は錯綜する。時間だけが残酷に過ぎ去り、堕落した日常の行く末には何も残らない。邪推を招くかもしれないが勿論ひどく個人的な話で、つまり自分は先人達の栄光を賞賛することしかできなかった。それでも神は俺を見放さなかった。せいぜい空白の30年を埋めるようにと御告げをなさった。Academy fight songというバンドとの出会い。初めて音源を聴いた時、心底血湧き肉躍った。これは決して偶然なんかではない。同じ屋号の下、引き合わせてくれたDude達へ感謝したい。 "ないはずの記憶が蘇る。" 1stでは戦慄に相応しい静と動のオルタナティブグルーヴを華麗に描いた。DischordのHooverあたりの暗がりを微かな光で照らす感覚。初期5年のJade treeの渇いた雰囲気。Drive like jefuやRocket from the Crypt、Hot snakesのようにドライビングするベースラインとドラム。そして何より曲の展開構成が秀逸。音楽の興奮して高揚して感動する部分を第三次元展開に落とし込む技術、アイディア、脳汁出まくりの充実感。三位一体のバンドアンサンブル。身内ではボーナスステージと呼ばれている超常現象。聞きどころ満載の初期衝動かつ衝撃連鎖としか形容する言葉が出なかった。2ndでは印象として90年代の抽象的な部分を表現するアプローチがうかがえた。それは激情や叙情、アーシーとは全く別物で内の美とも言える本当の意味でのオルタナティブロック。JawbreakerやJets to brazil、Jawbox、Jchurch、はたまたJmascisといったJの意思にも通ずるような感触。労働から滲み出た日常での気づき、郷土愛が音像として浮かび上がり、不協和音や変拍子さえも支配していく。原点にも立ち返る圧倒的な余裕が、より猟奇的というか言うなれば彼らはどんなシチュエーションにおいても世界観が成立してしまう。勿論盛り上がりの時があって予定調和があろうがなかろうが安定しているし、盛り上がらない厳粛な時こそ真価を発揮する。ダークで内省的に訴えかける音像に心を奪われる。これこそ中庸の様、醍醐味ではないだろうか。そして堂々たる3rd。なんといっても3rd。筆者は高揚をひた隠すも拳を握らずにはいられなかった。三部の物語を締め括るに相応しい大団円にして唯一無二の作品であることは間違いない。それはNahtやEastern youth、Butchersといった北海の息吹に呼応するかのような渦潮。それはシンフォニックに日本海を越冬する船便。爽やかで疾走感を帯びた表題曲は、俺たちの音を感じろと言わんばかりに郷愁に満ち溢れる。懐かしむだけにはしない。そのバランスたるや本筋。でも決して平衡感覚の保たれない危うさがインストにはあって、真しやかにギターは囁くはずもなく完全体のMakotoshiが音の洪水として轟く。そしていつの間にかAlbum leafのように暖かい南西の風が優しく包み込んでくれる。前日譚を匂わせるように幕が下りる。様式美は決して悪ではないが、彼らに予定調和は見合わない。脆く儚く行き場もなく彷徨い続ける得体の知れない何かが閾値として存在しているんだ。 ギターは円熟味を帯び、ささくれだった轟音を解き放つ。まるで一人間の生き様が滲み出ているようだ。それを彩るのは穏やかで淑やかな日本語の美しさであったり、時折放つ咆哮も小気味良い。そして彼らの曲調を決定づけるのはやはりメジャーへの歩み寄りで、もはや真骨頂。愛嬌すら覚える。John fruscianteとFugaziの出会いはまさに必然だったのだ。加えてJoe lallyを彷彿とさせる剛柔あるベース、Cowpers的ハイトーンコーラスは字が余れば余るほど鳴り響く痛快無比の歌声。変幻自在のカルマ溢れるドラムは、ありとあらゆるリズム音楽を踏襲し超越された。自分の音でブチ上がり酔い痴れるキースムーンのようなテンションで絶頂に達し果てる。さらにはJohn McEntireがBastroで繰り出したポストロック前夜の鬼神の如きドラミングを垣間見ることができるだろう。あたかも化身が乗り移ったかのような破壊と創造。まさに三位一体、磐石の布陣。集合知は大成された。ここに役者は揃い全ての解答が出揃った。戦慄を覚え中庸を極めた先には、神々の戯れの景色が広がっていた。 "彼らは可能性に住む。なぜなら彼らは自分たちの世界を知っているから。毎日葛藤して自分達に打ち勝ち、最高を更新し続けてくれるから。" Text by Crucifive ten (dryacid)
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ACADEMY FIGHT SONG ‐ LIFETHINK
¥1,800
2024年リリース LongSlopeRecordsからDANCE BEACHとのスプリットをリリースしたことも記憶に新しい”ACADEMY FIGHT SONG”のニューアルバムがkultti kasettiよりリリース! Introが終わるや否や乾いた轟音で鼓膜を揺らす、オルタナティブ・ポストハードコア好きなら間違いなく琴線に触れ、食指が動く、このバンドでしかならせないオリジナリティがこのアルバムにはあります。 アイデアに溢れるフレーズとコードワーク、アグレッシブなドラミングとスモーキーなボーカリゼーション、僕めちゃくちゃ好きなサウンドです。 DANCE BEACHとのスプリットにも収録していたWhere Do You Goはひたすらカッコいいギターサウンドが鳴っている傑作曲、TMGEの”ダニー・ゴー”のようなアンセム感も強く感じています。 個人的にもお気に入りの8曲目”FEELING”では自身の感受性に問いかけるような気分になり、またHumなどの轟音エモ/ポストハードコアの雰囲気も感じるところがあり非常に好きです。 Dinosaur Jr.やPixies、Jawbox、Bluetipなどといった轟音の中にも歌心を浮かべるようなサウンドを持つバンドが好きなら是非。もちろんeastern youth、Naht、COWPERSが好きならなおさらです。 トラックリスト 1.intro 2.No Pressure 3.Where Do You Go 4.Tenjo 5.Want 6.Barometer 7.Rick 8.Feeling 9.Section レーベルインフォ 2023年にリリースしたCDを引っ提げ各地にて轟音を鳴らし続けているAcademy Fight Song! LongSlopeRecordsからのDANCEBEACHとのSplit、Call And Response Recordsからのコンピレーションに続いて早くもニューアルバムをkultti kasettiよりリリース。 ・・・・ 流行り廃りのない楽曲を現代に違和感無く解き放つ。彼らの真骨頂である。締め切りを絶やさない日常は、良い作品を生み出すバロメーターなのだろう。演奏は上手いに越した事はないと教えてもらった。そんな彼らのスタジオ練習は楽しそうで、何よりだ。90年代を包括した圧倒的な余裕が、だれも手出しできない領域まで彼らを引き上げた。89年のDinosaur Jr.とThe Pixiesの片鱗とでも言っておこう。斯様に思う。 要するに嬉しかったのだ。同郷に"歌える"バンドがいる事が。口ずさめる、鼻歌で歌えるというのは音楽のエレメントとして究極ではないだろうか。彼らには驕りが一切ない。偉ぶらないし常に音楽で戦っている姿勢がある。カッコいいとかヤバいとか素直に言えるのは芸事として頂点の感覚だと思う。 Academy Fight Songや同郷のThe Shrikes、弊バンドの共通項として、メロディックバンドを好んで聴く傾向がある。良い音楽を常に探し求めている。気の知れた仲でも緊張感があるのは、互いに尊重し切磋琢磨し合えるからだ。それが俺たちのモチベーションにつながる。ブレストパンクに憧れを抱く反面、負けている気は毛頭ない。去年Hammered Hullsが地元に来た事も大きい。あの場にいた全員の共通認識は、音楽は誰でも楽しめる、何歳になろうが楽しみ続けていいんだという事ではないだろうか。Dischordの真髄に立ち会った経験は間違いなく糧になっているはず。 俺たちは決して若くはない。それでも経験豊富でありながらピュアといった逆説的カルト向上心(存在しない日本語)を持ってして、この関係を継続していくつもりだ。 Academy Fight Songに最たる賛辞を捧げる。 Text by Crucifive ten (dryacid)